死刑執行公表は「省内で勉強中」 鳩山法相
2007.11.30 10:50
 鳩山邦夫法相は30日午前の閣議後の記者会見で、死刑を執行した死刑囚の氏名を公表するかどうかについて「(法務省内に設置している)死刑に関する勉強会のテーマであり、猛勉強中だ。(公表するかどうかは)勉強会の結論に従って行う」と述べた。

 また、「遺族・関係者や他の死刑囚の心情を考えると、今まで公表してこなかった理由はよく分かる。しかし、刑罰権の行使が適正に行われているかどうかを知ってもらう必要もある」とも述べた。

 同省はこれまで、死刑執行直後に、執行したという事実と人数のみを公表しており、死刑囚の氏名までは明らかにしていない。

死刑執行の氏名を公表 法務省方針 被害者感情を重視 (1/2ページ)
2007.11.30 01:46

このニュースのトピックス:刑事裁判
 法務省は29日、死刑を執行した死刑囚の氏名を公表する方針を決めた。死刑執行の公表内容を変更するのに法改正などの手続きは必要なく、次回行う死刑執行時からスタートさせる。同省はこれまで死刑囚の家族らへの配慮などを理由に、死刑執行直後に執行した事実と人数を公表するにとどめ、死刑囚の氏名は公式には明らかにしてこなかった。犯罪被害者の立場を重視すべきだとの世論などに後押しされた形で、死刑執行をめぐる情報公開が大きく前進することになった。

 法務省はかつて、死刑を執行した事実すら公表せず、明治33年から毎年発行してきた「矯正統計年報」で、過去1年間に執行された総数や男女別数、執行した拘置所を掲載するだけだった。このため、年報が発行されるまでに執行の事実が判明するのは、報道機関などの独自取材や調査によるケースが多かった。

 現在のように執行の事実と人数を公表するようになったのは小渕内閣時代の平成10年11月以降で、死刑制度への国民の理解を得るためには可能な限りの情報の公開が必要だとの判断によるものだった。


刑事訴訟法によると、死刑執行は法相が「死刑執行命令書」に署名押印してから5日以内に行われ、死刑執行は死刑判決の確定から6カ月以内と定められている。

 しかし、9〜18年の10年間をみると、死刑確定から執行までの期間が平均7年11カ月を要し、法務省によれば、死刑執行を待つ死刑囚は10月末現在で105人いる。刑訴法の規定通りに死刑が執行されない理由について、同省は「再審請求や恩赦の出願を再々行っている者もいて、裁判の執行とはいえ人の生命を絶つきわめて重大な刑罰の執行のため、慎重を期している」としてきた。

 また、死刑制度をめぐっては、当時の法相が「思想信条」を理由に命令書への署名を拒否するケースがあったほか、刑法が絞首刑と定めている死刑の方法についての論議もくすぶっている。このため、鳩山邦夫法相が9月に発足させた勉強会で死刑執行のあり方に関して検討を進めていたが、執行された死刑囚の氏名を速やかに公表すべきとの判断に至った。