というわけでもないけれど

革命的群衆 (岩波文庫)

革命的群衆 (岩波文庫)


「号令で動く、烏合の衆」という先人の群集観を覆したもの。身体的集合的記憶が、何らかの外的事件で呼び覚まされ、純粋な群衆が結集体となり、歪曲された情報や不安や希望に振り回されていくのだという。ひところの西洋史研究では特に、この種の民衆騒擾の研究が盛んに行われた。ルフェーヴルは特に、情報の歪曲を重視したが、関東大震災のときの「朝鮮人が井戸に毒を入れた」というデマなど、その例とも言えるだろう。それほど極端でないにせよ、世論のうねりなどと美化されることには、十分留意したいものである。