京都新聞

大学院教育で協力
京大と東大、早大、慶大

大学院研究科の学生交流制度の調印を終えた京都大の尾池総長、慶応大の安西塾長、東大の小宮山総長、早稲田大の白井総長(左から)
 京都大と東京大、早稲田大、慶応大の4大学は25日、2008年度から大学院生を相互に派遣、受け入れる学生交流制度を新設する、と発表した。期間は原則として1年以内で、各研究科同士で個別に協議して交流先を決定する。研究の高度化で指導教員の専門分野が細分化していることから、学生ニーズにあった研究分野を学べる機会を確保するのが狙い。

 国公私立大の大学院改革について、政府の教育再生会議は今年6月、自大学出身者以外にも開かれた選抜制度の導入や、複数大学による研究科の共同設置を含めた「流動化」の必要性を指摘。こうした情勢を受け、東大側が、共同研究などで教員同士の関係が深い3大学に連携を呼びかけた。

 交流対象は研究科で学ぶ修士、博士課程の学生。原則1年以内だが、博士課程は2年まで延長できる。学費は在籍する大学に支払い、派遣先の学費は必要ない。研究科同士の協議で受け入れ先を決め、派遣先の教員が研究指導にあたり、学位論文の審査にも加わることができる。大学の了承も得て単位認定も行うという。

 同日、文京区の東大本郷キャンパスで行われた協定調印式には4大学のトップが出席。京大の尾池和夫総長は「東京の学生に、ぜひ京都に来て都の文化に触れてほしい。京都の学生は自由すぎてのんびりしており、東京で武者修行して、たくましく育ってほしい」と期待を表明。また、東大の小宮山宏総長は「他の大学も入りたいという動きは出てくる。日本で広めていく制度だ」と述べ、今後、より多くの大学と連携していく方針を示した。


河北新報

東北大が仏2大と共同ラボ 来月申請、欧州で存在アピール
 東北大は、フランスの国立応用科学院(INSA)リヨン校、国立中央理工科学校リヨン校(ECL)と連携し、「ジョイントラボラトリー」(共同研究施設)を創設することを決めた。国際的な大学として目標に掲げる「世界トップ30入り」の実現に向け、欧州での存在感と評価を高めるのが狙い。東北大が海外の大学とジョイントラボを設置するのは初めて。

 東北大は2004年にINSAリヨン校と、06年にECLと学術協力協定を締結した。3校は今年2月、東北大創立100周年などを記念してリヨン市で日仏フォーラムを共催、今月には仙台市で国際産学連携フォーラムを開いた。

 ジョイントラボは共同研究を進める枠組みの概念で、従来の協力関係をさらに発展させる。生命科学やナノ・マイクロ材料、流体力学などの分野で、欧州と日本の研究をリードしていく拠点づくりを目指す。当面は、INSAに置く東北大のリエゾンオフィス(連絡事務所)など既存の施設を活用する。

 具体的には(1)研究者や博士課程を修了したポストドクターらの交流(2)講義・シンポジウムの開催(3)学術情報・刊行物の交換―などを推進する。日仏の研究助成機関や地方自治体とも連携し、競争的資金の獲得も狙う。

 井上明久総長が今月11日、両校の代表と創設に関する覚書を交わした。欧州を代表する基礎科学研究行政機関・フランス国立科学研究センターに1月、ジョイントラボの設置を申請する予定。

 英国の大学情報誌などが大学関係者の相互評価などを基に作成した今年の世界大学ランキングで、東北大は102位。トップの米ハーバード大など上位10校は欧米が独占し、国内では東大が17位、京大が25位に入った。

 大西仁副学長は「欧州で旗を掲げ、広く専門家を取り込みたい。これまでは個人レベルでの研究交流だったが、ラボの設置で総合的な力を発揮できる」と成果に期待している。
2007年12月26日水曜日


日経

欧州で富裕税廃止相次ぐ・高所得層を囲い込み
 【パリ=野見山祐史】欧州で資産課税を軽減する動きが相次ぎ始めた。スペインとスウェーデンは来年、一定以上の資産を持つ個人に課す「富裕税」を廃止。ルクセンブルクでも同様の課税をやめた。各国とも国内に一定の富裕層を抱えており、その消費や投資を促して経済成長を底上げし、中期的な税収増を図る。欧州では個人課税の重い国から軽い国に移住するケースが多いため、富裕層の囲い込みを狙う動きといえそうだ。

 スペインのサパテロ首相は来年3月の総選挙で自ら率いる社会労働党が勝てば、17万ユーロ(約2700万円)超の金融資産にかかる富裕税を撤廃すると表明した。野党第一党の国民党も同税の廃止を掲げており、選挙結果にかかわらず同税は廃止となる流れだ。(07:03)