資産公開

昨夜からTVも新聞も関心は専ら、「ゆっきーはやっぱりお金持ち」ということに集中していたのだが、某警察OBに注目した今朝の朝日新聞は久々に本領発揮というべきか。


http://www.asahi.com/politics/update/1023/TKY200910230488.html


最近の通勤読書の中にちょうどこんなくだりがあったので、写経しておく。


権力による情報の独占と情報公開の必要性


・・・・・・知識の少ない者は、社会的に上位にある者から、簡単にコントロールされるようになる。

 日本において人々を無知な状態に保ち、権力構造を維持する働きをしているのが、「金権政治」という偽りのリアリティと、官僚と大企業の経営者による支配である。「金権政治」という偽りのリアリティを作り上げているのは、「政治家の腐敗こそが政治の最重要問題である」、「政治家は強欲で、企業から常識を超えた金をもらっており、したがって疑惑の目で常に監視されるべきだ」、「政治家に国を治める資格は無い」といった政治家一般についての国民の間に定着している考え方である。こうした固定観念は、テレビ、新聞といったマスメディアが、政治家のスキャンダルについてとりあげ、国民の政治家への怒りを煽りたてることによってできあがる。
 しかし日本の権力構造を詳細に分析してみると、金権政治を生み出しているのは、政府の中央官庁の官僚の強大な権力と、大企業や大銀行の経営者たちであることがわかる。つまり、各省庁の官僚は、許認可権、行政指導、通達などの方法による歯止めのない恣意的な権力行使を国民生活の隅々にまで行うが、これが企業活動に行われるときに、経営者はこれに対抗して自己の利益を守るため、政府の政策遂行のなかで便宜を図ってもらえるように政治家に官僚へのとりなしを依頼する。そのさいに、企業から政治家への金銭の受け渡しが行われ、これが「金権政治」のもととなる。したがって、金権政治の根本的な原因となっているのが官僚の正当性の乏しい埠頭とも言える権力行使と、それに対抗する経営者の不透明な金の使い方なのであるが、しかし、「政治家=悪人」というイメージがこの真相を覆い隠してしまう。
 こうしてつくられる「金権政治」という偽りのリアリティは、日本の権力構造を覆い隠して維持し、たとえば、官僚が作り出し崩壊させて「バブル景気」のときのように、国民生活が困窮に陥っても、官僚たち、また、それに加担し利益を上げた大銀行や大企業の経営者たちは責任を取らずにすみ、これまでの体制を維持し続けることができたのである(ウォルフレン[1994])。


説明する責任と情報公開
 つまり、こうしたかたちでの体制維持のやり方においては、日本全体を導いていく立場にある官僚、大銀行、大企業の経営者が、国民にたいして自分たちの判断や行動を納得のいくように「説明する責任」をはたしていないのである。この責任が果たされないかぎり、恣意的で不明朗な権力行使を廃して、国民生活の改善をめざした政策を実現することはできない。したがって、官僚や経営者に「説明する責任」をはたさせ、事態の改善を行わせるためには、人々が、政策遂行や企業活動について必要な情報を入手し、責任者に人々の納得の行く説明をするように迫らねばならない。しかし、それを阻んでいるのが、官僚による情報の独占と、マスメディアを通じて行われる情報操作である。
 たとえば、大蔵省の高官たちは、新聞のすぐれた経済分析記事の書き手や影響力を持ちそうな記者をつきとめ、当局の線に沿った記事を書くという了解のもとに「内部」情報を流す。また、日本の大新聞は、批判的な政治分析を徹底的には行わず、官僚の権力行使を正当化するために、人々の意見とはしばしば食い違う世論を捏造することがある。その結果、大新聞が報道するほとんどの問題について、、人々は、本当の世論がわからずじまいで終わることになる。さらに、社会全体を揺るがす大きな事件が起こり、その問題の究明をせまる「国民的議論」が巻き起こったとき、その議論は、大新聞によって、官僚や大企業の経営者を困らせないような形に濾過され影響力が弱められることになる(ウォルフレン[1994])。
 このように、本来は、社会全体に関わるような出来事について、人々は必要かつ正確な情報を伝える働きをするはずのテレビや新聞といったマスメディアが、情報をゆがめ、権力構造の維持に貢献するようになってしまうのは、マスメディアそのものが持っている性質と、マスメディアを取り巻く政治経済的条件のためである。


なかなか激しいな。権力概念をどう扱っているのかなと思って古書で入手したもので、多分、大学1・2年レベルの教科書なのでしょうが、昨今はやりの市民教育に、この本がお勧めかもしれんと思った次第。それでは、朝日新聞および他社の今後の動きと、徳政令の展開を気長に見守ってみますか。まさか、参院選後のために作ったのではないよね?


権力から読みとく現代人の社会学・入門 (有斐閣アルマ)

権力から読みとく現代人の社会学・入門 (有斐閣アルマ)