3月25日の大臣会見

【法曹人口に関する質疑】
Q: 今日の閣議で,「規制改革推進のための3か年計画」が了承されまして,その中に,法曹人口の問題が含まれておりますが,大臣の御所見をお伺いできますか。

A: これは重要な問題でございますから,正確に申し上げます。今日,「規制改革推進のための3か年計画」の新たに改定されたものが,閣議決定をされたわけでございます。この計画において,法曹人口についての言及がされていますが,昨年6月に閣議決定された「規制改革推進のための3か年計画」,つまり,改定前のものでは,平成22年ころに司法試験合格者数3000人を目指すという目標について,前倒しして達成することを検討するとともに,目標達成後の法曹人口について更なる増大,3000人からもっと増やすことについて検討を行うこととされていました。しかし,本日,閣議決定された改訂版では,前倒しして目標を達成すること,それから,目標達成後の法曹人口について更なる増大を検討するという部分は削除されました。私は,これまで再三申し上げていますように,平成14年に閣議決定された「司法制度改革推進計画」というものがありまして,これは法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備状況を見定めながら,平成22年ころに3000人程度の司法試験合格者数を目指すこととされていたわけでございます。ただ,閣議決定した3000人という数字はいいのですが,この目標を目指すに当たっては,法曹の質が確保されるということが大前提になると考えているわけです。そして,目標達成後の将来的な法曹人口の在り方については,毎年3000人ずつ積み上がっていくのは多すぎるのではないかという観点から,今後検討すべき重要な課題だと考えているわけです。そういう趣旨を踏まえてもらいまして,今度の改定計画では,3000人を目指すという目標の前倒しはしない,目標達成後の法曹人口を更に増やすことを検討するということもしないというふうになったわけです。私としては,だいぶ意をくんでいただいてありがたいというふうに思っています。今後の司法試験合格者の数を議論する場合の前提は,やはり法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備全体,つまり,法科大学院の状況をよく調べることが必要であると考えています。それぞれの法科大学院は,第三者評価機関を選ぶことができ,昨日は,大学基準協会から慶應義塾大学とか法政大学の評価が出ていました。26日には,日弁連法務研究財団,27日には,学位授与機構からもそれぞれ第三者評価の結果が発表される予定でございまして,法科大学院に対する第三者評価の結果というものについては,重大な興味と関心を持って見つめていきたいと考えています。



【イタリア人アントニオ・ネグリ氏の入国に関する質疑】
Q: 東京大学その他8つぐらいの大学の教授たちが,3月の末に,イタリアの著名な思想家のアントニオ・ネグリさんという方を招へいしていました。しかし,あちらの昨日の会見によると,入管から,政治犯であることの証明であるとか,査証の申請を出してくれという要請が,来日直前に寄せられたので,その準備ができないので来日ができなかったということで,これは事実上の入国拒否ではないかと言っています。ネグリさんはイタリアで拘束されて,解放後,20数か国に行っているようなのですけれど,そのようなことを求められたケースはないということで,日本は閉鎖的というか,入管行政とはどういうものなのだという抗議の会見を行ったのですが,これについて,大臣はどのように思われますか。

A: 私は全く日本の入管行政は閉鎖的だとは思っていません。ただ,治安という観点,あるいは,不法残留を出さないという観点できちんとやっていこうと思っています。個別の案件で,まだ詳細が把握できていない段階ですから,私が余りコメントをすべきではないと思いますが,ネグリさんの件は,確か外務省の外郭団体か何かが招へいをして,各大学で講演をするということだったと思っています。ただ,御承知のように,日本の入管は外国で一定以上の罪に問われた人は,原則として入国させないということになっています。つまり,ネグリさんが政治犯であるなら別でしょうけれども,一度逮捕されて服役しているわけですから,その辺がどうかということは考えていました。外務省から法務省に対して,査証の申請に関する協議がありまして,私もその話を聞いて,これはどういうふうにしたらいいのかと考えていましたところ,ネグリさんが自ら査証申請を取り下げたということで,私が判断をする段階まで来なかったと承知しています。そもそもが,新聞の報道がきっかけになっていまして,正直に言って,我々は新聞社ほど十分に状況を把握していなかったということもあったと思います。自ら査証の申請をお取下げになったというふうに聞いています。日本の入管は,決して閉鎖的ではありません。


自制的だ。