ADRやっぱり

河北新報

裁判外紛争解決手続き 医療事故へ活用を 仙台弁護士会
 医療関連紛争の解決に裁判外紛争解決手続き(ADR)を利用する機運を高めようと、仙台弁護士会紛争解決支援センターは14日、仙台市青葉区の仙台弁護士会館で、シンポジウム「ADRの次の可能性 医療事故の新たな解決方法を求めて」を開く。

 シンポジウムでは、薬害肝炎全国弁護団の鈴木利広団長ら医療訴訟に詳しい3人の弁護士が、訴訟以外での紛争解決の利点などを話し合い、会場からの質問にも応じる。医師や裁判官らも参加する予定だ。

 最高裁が全国の地裁で2006年に終結した民事訴訟の平均審理期間を調べた統計によると、医療過誤訴訟は25.5カ月で、公害差し止め訴訟(25.7カ月)に並ぶ「ロングラン裁判」になっている。

 ADRでは数回・数カ月の審理で解決に至るケースが多いという。
 原則は仲裁人の弁護士は1人だが、ケースに応じ、訴訟で主に患者側の代理人を務める弁護士と、医療機関側の代理人を務める弁護士の2人が仲裁人として加わるなどして中立性確保に努めている。

 しかし、医療機関側はADRを敬遠しがちで、十分に活用されていないのが現状で、仙台弁護士会のセンターに07年度持ち込まれた紛争89件のうち医療紛争は12件だった。

 センター長の小野寺信一弁護士は「両当事者が納得するまで話し合うADRは、勝敗を競うだけの訴訟にはない解決が可能だ。実績を積み重ね、医療機関の理解を得ていきたい」と話している。
 参加無料。連絡先は仙台弁護士会紛争解決支援センター022(223)1005。
2008年03月09日日曜日