河北新報

ケニア職業訓練作業所 仙台の市民団体、来年開所目指す

手工芸品作りに励む男性。新たに設けられる職業訓練作業所では、指導役を務める=ケニアのティカ

 アフリカのケニア貧困層の子どもや女性を支援する仙台市の市民団体「アマニ・ヤ・アフリカ」が来年6月、現地に職業訓練作業所を開設する。障害者やホームレスの若者を集めて民芸品製作や洋裁の技術を指導。製品はケニアや日本国内で販売して自立を助ける。作業所開設の資金を獲得するため、新しい会員組織を発足させる計画で、企業や市民の参加を呼び掛けている。

 作業所は首都ナイロビから50キロ離れた都市ティカに開設する。徳島県出身の松下照美さん(61)が孤児を引き取って養育する施設を開いており、作業所設置で協力関係を築く。

 開設に先立ち、太白区の主婦でアマニ・ヤ・アフリカ代表の石原邦子さん(64)が来年1月、現地を訪れて作業所の物件を決めた上、6月のオープンを目指す。定員は15人。

 ティカにはバナナの葉や幹を使った民芸品、ビーズアクセサリーなどの製作に携わる障害者が数人おり、アマニ・ヤ・アフリカは作品を日本で輸入販売する「フェアトレード」を実施している。これらの障害者に作業所の講師を引き受けてもらう予定だ。

 同団体は1998年12月に発足した。石原さんがケニアに旅行した際、ナイロビのスラム街で懸命に生きる人たちを見て感銘を受けたのがきっかけ。現在約70人の会員が所属し、子どもたちの就学支援やアフリカを知るイベント開催などを手掛けている。

 石原さんは「仕事も家もない若者や子どもがたくさんいる。作業所開設によって自立する道が開けるはずだ」と期待する。

 作業所開設には、ミシンやテーブルなどの機材をそろえたり、常駐スタッフへの給料を支払ったりする資金として約300万円が必要。同団体は作業所を支援する組織「アマニ・ファクトリークラブ」を設立して個人や企業の会員を募る。既に宮城・岩手県地区のロータリークラブの連合組織が資金援助の意向を示している。

 会員にはメールマガジンを発行して現地の情報を伝えるとともに、作業所で製作された作品を割安価格で提供する。視察ツアーも予定している。

 ファクトリークラブの設立準備室長を務める吉村松二さん(65)は「3年ほど掛けて、作業所の運営が成り立つようにする。若者たちとの草の根交流も根付かせたい」と話す。連絡先は吉村さん090(2271)1403。
2007年12月26日水曜日

グローバル・ジャスティスを取り上げるとき、国内の貧困層の救済はどうなるのかという問いが常に突きつけられるのだが・・・。