例の事件

朝日の朝刊31面で、東浩紀は、容疑者がネットに書き残した大量の書き込みについて、「そこには身勝手な劣等感ばかりが綴られている」と評しているが、違うと思う。屈折した自己力能感である。子どもの作文や図画に手を加えたり、より素直な下の子に愛情を注いだりする親はどこにでもいるが、自分の値打ちを理解できない、そのような家族や異性や社会に対する徹底した、攻撃的な軽蔑である。これは、この1年間に立て続けに起こっている、乱射・切り刻み・通り魔事件の多くに共通すると思う。本物の劣等感なら許せない存在は自分であって、帰結は自傷・自殺である。