「米カリフォルニア州最高裁は、2008年5月15日、サンフランシスコ市などが州を相手に起こしていた訴訟で、同性婚禁止に対する違憲判断を下した」という件 をちょっと整理してみる

経過

・ サンフランシスコ市は04年に独自に結婚許可証を同性愛カップルに発行したため、州との訴訟に発展していた。1審の地裁は同性婚を容認したが、上訴裁判所は認めず、最高裁でさらに逆転の判断が示された。(毎日新聞
・ 2004年に同性カップルに結婚証明書を発行、裁判で無効判決を受けたサンフランシスコ市が、複数の同性カップルや権利団体とともに、州法が差別にあたるとする訴えを起こしていた。州最高裁は4対3で、この主張を支持。判決は30日以内に発効する。(マイクロソフト
・ 同州では2000年、住民投票によって、結婚を男女間に限る州法が成立。議会では同性結婚を認める法案が2回可決されたが、いずれもシュワルツェネッガー知事の拒否権発動で廃案となった。
・ 現在の州法では「男女間の結合が結婚」と定義され、2000年の州民投票でも「男性と女性の間の結婚のみがカリフォルニア州では有効であり、認められる」との決議がされ、州法に加えられている。州最高裁はこうした内容をいずれも違憲として、州法から削除することを命じている。州最高裁はケースを控訴裁に差し戻し、最高裁の判断に沿った措置を取るように求めた。最高裁の裁定は30日後に効力を発揮することになっている。(世界日報



判決

・121ページにわたる判決文(世界日報
・ロイター通信によると、ロナルド・ジョージ裁判長は「同性愛カップルには配偶者を選択し、公的に婚姻関係を結ぶ異性愛カップルと同等の州憲法上の権利がある」との判断を示した。(毎日新聞
・ 州最高裁は判決で「同性カップルに異なる身分を与えることは、彼らを『二級市民』と扱うようなもの」と断じた。(時事通信
・「個人の性的指向を根拠に法的な権利を否定すべきではない」との理由から、同性婚を認める立場を示した。(マイクロソフト


コメント

・過去に同性婚を認める法案に拒否権を行使したシュワルツェネッガー知事は「判決を尊重し、州最高裁の判断を覆すような州憲法の修正は支持しない」との声明を発表した。(時事通信
・ニューサム・サンフランシスコ市長は、「判決は当市だけでなく、数百万の人々にとっての勝利だ」と述べた。一方、反対派は、州憲法自体に同性婚を認めないとの規定を加えるべきだと主張し、その是非を問う住民投票の実施を提案している。 (マイクロソフト

影響予測

マサチューセッツ州に次ぎ米国で2例目。今後、同様の法律を施行する他州にも影響を与える可能性がある(時事通信)。
・  世界ではオランダ、スペイン、カナダなどで同性婚が合法化されたが、米国ではマサチューセッツ州だけで、その是非は保守派とリベラル派の政治上の争点になっている。(毎日新聞
・ 米国内ではマサチューセッツ州が唯一、同性結婚を合法化していた。そのほかニューハンプシャー、バーモント、ニュージャージーコネチカットの各州では、同性カップルに結婚した夫婦とほぼ同等の権利を認める「シビル・ユニオン」制度が制定されている。カリフォルニア州での決定が今後、全米の州にどのような影響を及ぼすかが注目される。 (マイクロソフト)
・ 同様の判断は、2003年11月にマサチューセッツ州最高裁が示して以来、各地で出されている。しかし、マサチューセッツ州の場合は、州民以外の同性愛者による結婚を同州で認めない条例が付加されており、州外からの同性愛カップルの結婚届が制限されたのに比べ、カリフォルニア州にはそうした規定がなく、今後続々と同性愛者による結婚届が州外からも殺到することが予想されている。(世界日報
マサチューセッツ州で2004年に同性婚が合法化された際には、その是非が米国を二分する議論に発展。活発化した反対運動が保守票を掘り起こし、道徳や倫理、社会的価値観が大きな争点となった同年の大統領選で、ブッシュ現大統領の再選の追い風にもなったとされる。今回の大統領選で民主党候補の座を争うオバマクリントン両氏はいずれも同性愛者の権利保障を提唱しているが、同性婚そのものについては議論が分かれる問題だけに、反対陣営を刺激しないよう、距離を置く姿勢をとってきた。一方、共和党のマケイン候補は同性婚に明確に反対している。判決をきっかけに同性婚問題が大統領選の争点として浮上すれば、04年の大統領選と同じ構図が生まれ、結果的にマケイン候補に有利に働くのではとの予測も出ている。(産経)
・ 同様の判断は、2003年11月にマサチューセッツ州最高裁が示して以来、各地で出されている。しかし、マサチューセッツ州の場合は、州民以外の同性愛者による結婚を同州で認めない条例が付加されており、州外からの同性愛カップルの結婚届が制限されたのに比べ、カリフォルニア州にはそうした規定がなく、今後続々と同性愛者による結婚届が州外からも殺到することが予想されている。(世界日報
・ 危機感を強めた同性結婚反対派は、11月の総選挙の際に再び男女間の結婚のみを合法とすることを州憲法に盛り込む州民投票を準備している。シュワルツェネッガー州知事は、この州民投票には反対の意向。同性愛者による「結婚合法化」運動に対して危機感を覚えた保守派が草の根運動を展開して今までの国政選挙でリベラル派を圧倒するケースが起きているが、今回の州最高裁の決定が、そうした動きを再び引き起こすのではないかという予測もされている。 (世界日報