南日本新聞

鹿県45集落、10年以内に消滅恐れ
限界集落」は258
(03/13 07:56)
 鹿児島県が県内の全市町村に対して行った集落状況調査の速報結果が12日まとまり、今後10年以内に45集落が消滅の可能性がある、と市町村が回答していることが明らかになった。65歳以上が過半数を占め、集落機能維持が困難な状態に置かれている「限界集落」は、258集落だった。
 同日の県議会企画建設委員会で、県地域政策課が説明した。本年度末までに調査結果の内容をさらに詳しく分析した上で2008年度、関係課による連絡会議を設置、09年度以降の対策を検討する。
 調査は昨年末から県内46自治体に対し実施。集落の基礎的状況など7項目と、集落が抱える課題、今後の必要な対策など尋ねた。消滅の可能性がある集落については、再編・統合によるものを除き、今後10年間の見通しを聞いた。
 調査によると全6782集落のうち、65歳以上の人口が50%以上を占める集落は943。高齢化率にかかわらず、水源管理や相互扶助など集落機能の維持が困難な集落数は364だった。集落機能の維持が困難な364集落のうち229集落が中山間地に位置している。同課は「人口別に見ると小規模な集落ほど機能維持が困難になっている」と説明する。
 集落の課題としては、買い物など日常生活のサービス機能低下、交通手段の不足、緊急時の医療の不安、耕作放棄地の増加、鳥獣被害の増加などが目立った。

同社説

[国の出先機関] 統廃合急ぎ分権推進を
( 3/13 付 )
 地方分権の推進がうたわれて久しい。国から地方自治体への権限移譲など、ある程度進んだのは確かだ。しかし、私たちの暮らしや地域が良くなったとの実感はない。

 なぜなのか。住民のニーズを的確に把握し、それを政策に反映させる行政システムが整っていないことが理由の1つに挙げられよう。都道府県との二重行政になっている国の出先機関の廃止・整理はその解決へ有効な措置と考える。

 政府の地方分権改革推進委員会出先機関見直しについて各省庁からヒアリングを行っている。だが、省庁の姿勢はかたくなで、現状維持の主張ばかりだ。

 国土交通省の砂防事業の大半の工事は都道府県でも可能な上、事業終了後の維持管理まで国がやる必要はなかろう。しかし、国交省は大規模土石流災害対策の技術力確保などを盾に手放さない。

 食品衛生法に基づき地方厚生局などで行う総合衛生管理製造過程(HACCP)の承認事務の移譲も厚生労働省は譲らない。国の基準で地方が事務を行っている例は少なくないのに「国の審査基準に沿って国がやるべきだ」と主張する。

 分権委は「法務局の登記事務は市町村に移した方が国民の利便向上に資する」「経済産業局の消費相談事務は消費者との距離が近い自治体が一元的に担う方が効率的」など論点を整理している。

 いずれも、もっともな指摘だ。住民に身近な行政が決定権と責任を持ち、施策を進めていくのが地方分権のあるべき姿だろう。国は権限に固執すべきではない。国が担うべき業務については国民に説明し、理解を得ることが必要である。

 全国知事会は先月、8省17の出先機関を対象に大幅な廃止・縮小が可能とする見直し案をまとめた。国交省地方運輸局はすべての業務を地方に移譲でき、10ブロック局と都道府県にある106機関を全部廃止できるとした。業務や組織を徹底的に見直せば、職員数を約2万人削減できるとの試算も示している。

 無駄の多い二重行政を現実に知る立場での提言には説得力がある。分権委は全体の見直し案を今夏に中間報告としてまとめ、首相への勧告に反映させる。提言を省庁折衝でも十分活用してほしい。

 増田寛也総務相は「分権委の勧告を政治責任で実現しなくてはならない」と覚悟を示している。分権改革を政策の柱の1つに掲げている福田内閣の各閣僚は、省庁の厚い壁を取り払い、協議が進展するよう指導力を発揮すべきである。